RecRoom、VRChat、PublicとF+、電話、公園デビュー、現実のソーシャル

 適当な脳内メモです

  • VRChatのF+運用文化によって、多くのユーザはSocialを辿ってjoinするようなプレイスタイルに変化する
  • これは初心者に優しくないので高い脱落率は納得が行く
  • しかしF+は居心地の良さも提供しているため、一度住み着くと離れづらい
  • F+制御システムは現実でも同様な振る舞いはあり、現実でも似たような問題がある
  • VRChatはだいたい現実mostly real

VRChatをなんとなく初めるとコケる問題

 なぜなら何もシステム的なフォローがないから。TwitterFacebook、pixiv、mixiなら興味のありそうなユーザをサジェストしてくる、フレンドのフレンドを手繰っていける… だがVRChatにはそれがない*1

かくいう自分もVRChat自体の開始は去年だが、今年のVケット2までハマることがなかった

RecRoomを見てきた

RecRoomにはフローが設計されている。Public前提である。ミニゲームに突っ込まれる、遊ぶ、クリアしたら握手してフレンドになる、フレンドが増える。ポイントがもらえてアバターカスタマイズができるようになる。

これはこれで正しい(その思想に同意できれば)

VRChatにはフローがなく、しばしばpublicを彷徨って脱落する

一方でVRChatにはやることが無い。恐ろしいほどなく、初心者はとりあえずVRのpublicの街角へ放り出される

混沌としたpublicたまり場もあるが、初心者が事前情報なしに見つけるのは困難だ。慣れたプレーヤーほど会員制クラブともいうべきフレンドプラス(通称F+)なインスタンスへ流れがちになる

F+は見知った仲間で過ごせる。まったり過ごす、すやすやワールドが増える。

 

一方で初心者は治安の悪いpublicを散策して脱落してしまう*2

アクティブフレンドを十分作ると見える地平。Worldタブ or Socialタブ

Socialにアクティブなフレンドが増えると流れが変わる。

VRChatへjoinしたら、メニューを開いてWorldタブからいつものpublicたまり場を目指す、そういうプレイから、Social欄からフレンドを見てjoinするようになる段階へ変わっていく。WorldタブからSocialタブへ重視していくタブが切り替わる。

 

イベントをよく開催したり、人が集まりやすいハブ的なユーザーを見つけてjoinしたりすると、更にフレンドが増える。アクティブなフレンドが増えると、更にどのインスタンスに集まっているか、単独行動しがちなフレンド、グループ行動をするフレンドの輪が見えてくる。ますまずフレンドにjoinしやすくなるサイクルが回りだす。そうするとWorldタブからpublicインスタンスを選ぶ理由はほとんど無くなる。

 

しかしここまで行くのがメチャクチャ遠いのだ*3。VRChatのフローはおかしい。

いや、たまたまこう実装してしまって、それに人が慣れたか着いたかかはわからないが、そう回るようになったのだろうなあ

PublicとF+

VRChatのまずおかしいところはこれだ。交流させる設計なら、RecRoomのように強制publicの方が正しい。インスタンスがバラける、人が集まらない、分散するプライベートインスタンスがシステム的に整備されている不思議。人と出会えない、オンライン引きこもりを加速するソーシャルVR、VRChat

 

F+に籠もるとコミュニティは拡大しない。じわじわ構成メンバーが減少して最終的に消滅に至る。増やすには人を取り込むしかないが、F+は外部からは見えない。つまり、プライベートインスタンスへの誘導が強いVRChatは消滅が運命付けられている、…はずだ

 

しかしちょっと考える。ソーシャルって何だ?Twittermixifacebook?と考えると、非同期のテキストソーシャルと比べ、VRChatはリアルタイムなので特性が違う。

電話、しかも正座待機してないと電話が取れない「呼び出し音なし固定電話」がVRChatには近いのではないか?

ボイスチャットサービス・電話を初めたときの最初の相手は?

電話にグループボイスチャットが付いたぐらい、がVRChatのソーシャル機能と言えるように思う

じゃあ、電話と比較しよう。最初に電話を始めたときどうした?リアルの友達から電話番号を教えてもらったり、今なら親から受け取ったスマホに自宅や親の番号がすでに入っていたりしなかった?

 

電話を初めるとき、リアルのソーシャルネットワークを電話のソーシャルに持ち込んでいる。LINEとかslackとかDiscordとか。リアルの交友のある人から「これ便利だよ。連絡に使おう」と言われて初めることが多いと思う。それだ。

VRChatもこの系列なんじゃないか?VRChatを一人で初める、というのは、LINEを一人で始めたり、通話相手なしで電話を初めるようなものなんじゃないか?

付添い親なしで公園デビューできるのか?何もなしに会話の輪ができるのか?

そうすると、一人でpublicのたまり場へ馴染みに行くには、「子供が親同伴なしで公園デビューを果たす」ぐらいの難易度がありそう。適切なpublicたまり場を知らなければ、まず公園にたどり着けないだろう。たどり着けたとして、公園の輪に参加できるだろうか

 

そういう場合、話題になるネタがあるといい*4

例えばデートに映画を使う、なにかのイベントを見に行くとか、買い物に付き合ってくれとか、アスタリスクの花言葉*5も話題の提供と、それによって会話の輪を作ることに一つ目的がある、はず。

RecRoomの場合はこれをミニゲームとして実装しているが、VRChatは完全にワールドに依存している。そしてSDKミニゲームの様なインタラクションを作るには向いていなく、pickupのごっこ遊びが大多数

 

かつてMMORPGが高級チャットツールと言われたが、本当に(ボイス)チャットだけにしてしまったのがVRChatとも言える。MMORPGRPGにオンラインとチャットを付けたことで、ゲーム攻略をネタに会話をさせることができたが、VRChatはそこすら捨ててしまった

現実のソーシャル

現実でも単に会ったから、合流したから、といって会話が弾むのはかなり少数だと思う。満員電車で隣に並んだ人と和気あいあいと雑談になるケースは稀だ。家族や友だち、知り合い、仕事仲間、小さなソーシャルネットワーク内で会話をしている。これは現実のF+だ。これらが縮小して自然消滅したり解散してしまうことはある。

 

現実の勉強会や各種サークル活動、イベント等をpublicに募集した結果、拡大して制御不能になったり、コストを支払えずに分解するケースもある。

publicの治安悪化、制御困難と、F+の自然消滅リスクは現実でもある。つまりこの辺のソーシャルネットワークの制御が難しいのは、現実でも同じであり、多分人類全体の*6仕様じゃないかなあ

 

VRChatのソーシャル問題はだいたい*7現実*8というオチが見えてきたので、思考終了

 

あとまあ、VRChatは「日本語が通じる異世界旅行」「VRなりきりチャット」とかに近いんでは?とも思うので、現地の風習とのギャップで困惑する、みたいなのもありそう。

そもそも知らない人と会い続けるのは楽しいのか、とか

*1:Socialの一番下にランダムなアクティブユーザはいるが…。恐らくほとんど使われていないだろう

*2:そういう意味では、publicなのに人が居着いて治安がよいワールドは稀有でありがたいわけですよ。恐らくは、少数の有志が精力的に維持している。そういうパターンは観測した

*3:個人的にはフレンド200人ぐらいで到達した印象だが、フレンドのアクティブ率や本人のプレイ時間帯に依存するのでなんとも言えない。自分のケースでは、Questリリースのユーザ増加タイミングにVRChat QuestユーザDiscordに合流できたことも強い

*4:ネタがあると、環境のコンテキストがあると簡単なジェスチャーでも伝わるようになる。VR無言勢はその辺の表現力が高くていいですね

*5:これについてはいろいろ書いた方がいいような気もしつつ、いまいち纏まっていないんだけど、とりあえずヨツミさんありがとう。ただ、こう言えるのは一緒に協力できたフレンドがいてくれたこと、そしてクリアを達成できたことによる所も強く、万人におすすめできるコンテンツではないとは思う。でもこれは好きなコンテンツだったよ。あと、これは完全に個人的なイメージなんですけど、ヨツミさんは(beyond the reality:betaでも感じてきたけど)360°又は720°又は1080°あたり捻った豪速球を叩き込んで来るスタイルと認識してまして、今回のアスタでもその認識を再確認し深く納得すると共に、どうしてここまで捻ったストレートボールを打ち出せるのか、打ち出すパワーがあるのかと感心していますありがとう

*6:ここクソデカ主語

*7:代替ではなく「だいたい」mostly

*8:とはいえVRChat内のコミュニティ維持は現実より低コストではある気がする。VRバイスや通信代は掛かるとはいえ、場所代や現実で会うためのコストよりは安く、プレゼンス/存在感は他の通信手段より高いと感じる。ほにゃらら集会が数多く開催されているように。個人的なイメージだけど