チェルノブイリ原発シミュレータ・導入編
はい。
フレンドから「やろうぜ!というか一人だと攻略出来る気がしないので協力してやろうぜ」と誘われたので、Chernobyl Nuclear Power Plant(RBMK-1000) Reactor Unit3. Simulatorこと通称チェルノブイリ原発シミュレータをやっていきます。
やっていくんですが、いかんせんアプリが古いことや、バグなのかオリジナルの原子炉だと面倒なのか分からん点、英語資料しかないことから、スタート時点でコケる人が多数間違いないため、まず導入について書いていきます。
過去にもチャレンジしようとしたときがあった気がするんですが、その時は普通に挫折しました。今回はフレンドと教え合いが発生したことや、英語力、原子炉、熱機関、電力に対する知識が前回よりあったこと、Youtubeで他の人のプレイが共有されていたことで、なんとか「遊べる」領域まで行くことが出来ました。
というわけで攻略としてはゼロ、またはマイナス1ぐらいの記事になります
チェルノブイリ原発シミュレータで遊んでる
— greenspa (@greenspa) 2021年1月16日
セーブも倍速もない。ぜんぶ実時間でプレイする必要がある超硬派仕様
プレイ前に80ページ近いゲームマニュアル(教科書)を読まないとなにひとつ操作できないし、原子炉を起動するまで数時間かかる。大満足
みんなもメルトダウンさせていきましょう pic.twitter.com/eq9MfUdAHt
「原子炉シミュをやれ」という圧が来たので、Unity触りながら原子炉シミュを起動したが、初手のタンク注水が長すぎる… pic.twitter.com/kV1AcFIXmx
— おめが( ゜ヮ゜)ノ@クロスマーケットセカンド2021年2月20日 (@Omegamega) 2021年1月17日
今日の、チェルノブイリ原子炉シミュレータ。起動25分でタービン3600回転まで到達し、位相同期をして送電開始する説明シーン
— おめが( ゜ヮ゜)ノ@クロスマーケットセカンド2021年2月20日 (@Omegamega) 2021年1月22日
この1分後、パワー不足でタービン脱調して、送電は停止しましたが発電所は無事です。ヨシ! pic.twitter.com/90uT2UrsNh
ちなみにプレイ時間ですが、マニュアル通りにやると3時間ぐらいでミニマム送電開始(10MW)出来るのではないか?という感じです。ここから更に出力を上げて、カタログ通りの1000MW?実効出力の800MW?またはマニュアルにある600MW送電まではたどり着けてないため、トータルのプレイ時間は不明。参考程度に、型が異なりますが国内のPWR炉の安定稼働&商業発電が、最短48時間であることを考えると、まあフルにリアルタイムで遊ぶはちょっとな?という感じでしょうか
安全ガン無視のオリジナルチャート/手順で炉を起動する場合、10MW送電開始は30分ぐらいにはまとまりそうな感触までは来ています。
[2021-01-26追記]1000MW送電達成しました。おそらく、オリジナルのチャートで煮詰めれば、炉の起動から1000MW送電まで1時間ぐらいだと思われます。RTAができますね
チェルノブイリ原発のバックグラウンド
詳しくはWikipediaとかで歴史的背景を読むといいでしょう。まあそうでなくても、発電や原発に興味があったことがあれば、ほんのり聞いたことがあるのではないでしょうか。関連wikipediaや再現ドキュメンタリー、さらには跡地をめぐるダークツーリズムや写真集、モチーフにしたゲームなどをたどっていくと無限に時間が溶けてしまいます。ほどほどにしてシミュレータに戻るために、ここではざっくり触れておきます
ソ連は建国当初から国内の電化を推し進めてました。そのために国内の特殊な石炭専用の炉を開発するぐらいには、ソ連は建国当初からエネルギー源を求めていました。そこに現れたPeaceful Atom、原発は少なくとも当時は、理想のピースだったのでしょう。しかし、正式名V・I・レーニン記念チェルノブイリ原子力発電所は、その理想に反して86年に4号炉爆発事故という大惨事を起こし歴史を名を残しました*1。今回のシミュレータはその隣にあり、事故も14年間、2000年まで稼働し続けた3号炉です。
この爆発事故によって、一節にはソ連崩壊を決定づけたとか、日本にも放射線/能の影響が観測できたとか…。チェルノブイリ以外にも各地に散らばるRBMK-1000型は後に構造欠陥から改修されますが、4号炉が爆発後も、そしてソ連崩壊後も1,2,3号炉は電力需要のために発電を続けるなど、ソ連/ロシア/ウクライナの厳しい情勢が伺えます。
…って調べたら今でも普通に稼働してる個体いますね。レニングラード原発で4基、クルスク原発で4基。これらは置き換え計画が進んでる様子。出力増加型のRBMK-1500型イグナリナ原発は、揉めた結果最終的に置き換えなしで停止、市民の電気代アップ。うーむ、おつらい。
そりゃまあ使い続けるなら、作業員の教育のためにシミュレータほしいですよね?
GoogleMapで見るとここ。爆発した4号炉には新しいカバーがかかってます、その隣が今回シミュレータで試す3号炉です。更に右へ2,1号炉と続きます
(googlemapから引用)
インストール
このあたりの情報は
- RBMK-1000 MWe Simulator Startup Tutorial [No Voiceover](3DR)
- RBMK-1000 Chernobyl Simulator Tutorial [updated version 2.0] (argilaga)
を大いに参考にしています
本体のインストール
本家のダウンロードはここ。SimGenics社のページの一番下にダウンロードがあり、メールアドレスが要求されます。インストールしてください。
ちなみにこのシミュレータが事故前のものなのか、事故後の改修型なのかはわかりませんでした。詳しい人、情報お待ちしています。
本家パッチ
ダウンロードはここ。展開するとChernobyl04.ICDファイルが一つ入ってます。これをChernobyl SimluratorことRXMODELの同名ファイルと書き換えます
自分の場合は 「C:\Users\USERNAME\AppData\Local\Apps\2.0\なんとかかんとか\なんとかかんとか\CHRNOBYL\FILES\IC_DATA」に入ってましたが、場所はPCによるかもしれません。
おそらく、USERNAME\AppData\Local\Apps\配下ぐらいにはあると思うので検索しましょう
修正内容についてはこちらのRedditに情報がありました。RuputureDiscTroubleの条件が変更されている、とのこと*2。実際、このパッチ導入前はあれほど分からなかったRuptureDiscTrouble*3が激減し、少なくともタービン回転まではこぎ着けられるようになりました。発電に必要なので入れましょう
CheatEngineのインストール
CheatEngineはゲームのチートをするための汎用ツールです。動いてる他のプロセス、ソフトのメモリを覗き見たり、無理やり書き換えたりします。今回は、Xeチートのためにインストールします
上の参考に上げた2つの動画ですが、どちらも通称「Xeチート」と呼ばれる、このチートを適用しています。なぜこうしているか?というのはいまいち分かってませんが、
- シミュレータのXe計算がそもそもミスっている説
- Xe計算は正しいが、Xe由来で発生するキセノンオーバーライド(核毒)は48時間のような長いスパンで効果を発するため、無駄に長いゲームプレイになってしまう。まともなプレイ時間にするため、Xe発生をチートで消している
- シミュレータは4号基事故直前の状態、つまりXeが溜まった状態で初期化されている。まともなプレイ時間にするため、Xe発生をチートで消している
といったパターンが考えられます。
いずれにしろXeチートを導入すると、キセノンオーバーライドを味わうリアルな原子炉プレイが出来ないことになりますが、ゲームとしてのプレイしやすさは格段に良くなります。「原子炉は原子炉だけ操作すれば良いはず。そのためにはキセノンオーバーライドを消してはシミュレータが簡単になってしまうのでは…」とパッとは思うかもしれませんが、RBMK-1000型特有?の動かすだけでNeutronRate変動する扱いづらい制御棒、蒸気を介して遅延する熱出力、付随する熱機関の制御も本シミュレーターではかなりの比率を占めてるため、そう簡単なプレイにはなりません。安心してください。
または一旦Xeチートありで腕を磨いてから、Xeチートなしにチャレンジするのもありかもしれません
[2021-01-26追記] 改めて自分で試した所、Xeチートなしでも原子炉の運転が出来ました。のでXe計算はどうもバグではなく、それなりには正常なようです。ただし、あくまでオリジナル手順での確認で、手順書通りで起動するかはわかりません*4。また、Xeチートをする場合と比べてかなり繊細な制御棒捌きを要求し、かつ起動に失敗すると炉心がXe核毒で汚染され、炉を起動できなくなります*5。
Xeチートを入れずにプレイしたい場合、CheatEngineのインストールを飛ばして構いません。XeチートなしでXe値が高くなってしまったら…、操作に時間がかかって制御棒を抜いても起動しなかったら…、諦めてシミュレーターを再起動しましょう
しかし、起動もしてないのに勝手に増えるXeというのもなんかおかしい気がしなくはないですが…。
ドキュメントの用意
原子炉の操作にもマニュアルは必要です。というかマニュアルがないと何もわかりません。マニュアルがあっても難しいですがないより遥かにマシです
(上記PDFより引用)
マニュアル内容はざっと読んでくれてもいいですが
ぶっちゃけ82pから読めば起動を開始できます。ただしUIの説明操作法は乗ってませんし、なぜこのボタンを押すのかこのボタンを押すと何が起きるのか、「望むだけポンプ動かしてね」の望むだけとは?、「他の計器を見ていい感じだったら続行」のいい感じとは?というのは炉の説明を見ないと全く分からんです。
基本的にはマニュアルの文字列を、シミュレータの文字盤上で探す。という感じでプレイしています
まあ説明書はわからなくなったら見ろ[要出典]と言われますし、先へ進みましょう
ところでこの核熱ケトル図、めっちゃいいですよね。すごい分かりやすい。核で熱を出し、熱を回転に変えて、回転で発電する。これぐらい簡単に原子力発電ができればこんな厚いマニュアルはいらんのですが…
(上記PDFより引用)
シミュレータの開始
シミュレータの起動
RXMODELがシミュレータアプリです。起動しましょう。
メニューのDisplays、Schematicsを表示し、全ステータス表示ウインドウを出すとこの画面になりますおめでとう
Xeチート
不要な場合はこの項目を飛ばしてください
シミュレータは一旦そのままにし、CheatEngineを起動します。権限要求okして進めます
左上のPCマークをクリック、一覧から「Chernobyl RBMK Reacto…」を選び、Openします。
次に、右下の「Add Address Manualy」をクリック。「chrnob_32.dll+23210」をAdressへコピペしてください。Descrptionは何でもいいですが、ここではわかりやすく「Xe」と入れます
「Xe」枠が増えて、Valueがぴくぴく変わってるはずです。Activeをチェック。Valueの変わってる値をダブルクリックし、ChangeValueを0に書き換えokします
シミュレータへ戻ります。
CoreStatusを見るとXenon表記が0.0%になっており、Xeチートが成功していることがわかります。ウインドウが出てない場合はメニューSchematics - Core Statusを選んで表示しましょう
さて、ここまででプレイの準備は整いました。お疲れさまでした。
ちなみにCheatEngineは終了時に.ctファイルという形で、チート方法を保存できます。保存しておくと次回からアプリを自動認識して(チート対象アプリを選択した時点で)保存した.ctファイルを使おうとしてくれるので、オススメです。
参考ダイヤグラム
ここから先は原子炉技術者としてのお仕事が待っています。祖国の電力供給のため、頑張りましょう!
理解のために説明と訳を書き足したダイヤグラムを作ったので、お仕事の参考にどうぞ
*1:そういう意味では、日本も70年代のオイルショックからエネルギー源を模索、原子力へ舵を切りました。原子力の負荷調整困難な特性から、揚水発電や深夜電力を使うEV充電や給湯器の普及に務めました。が、その後、2011年に福島の事故があり、原子力から急転換。2018年には北海道での大停電や、今年2020年冬の発電用LNGの不足と、エネルギー源問題はあまり他人事ではありません。
*2:このバグはVB6からVB.NETへの移植の際に起きたのでは?と推測されています
*3:このアラートは解除不能で復帰する方法がない。RuptureDiscとはディスクが割れることで内部の圧力を逃し、機械の破損を防ぐ仕組みのようなので、正しい仕様
*4:一応出来るらしいという話も
*5:RBMK-1000に限らずどの原子炉でもXe核毒で汚染されると、Xeが抜けるまで数時間程度、再起動が困難になるようです。キセノンオーバーライド。チェルノブイリ原発事故も当日の作業員はキセノンオーバーライドを理由に、作業の延期を提案していました