概要
Valve IndexコントローラはLighthousePCVR環境で、ほぼ最高といって良いコントローラですが、摩耗によってスティックのドリフト問題が発生しやすいのが欠点でした。しかし、ここに追い打ちをかけるよう、ValveIndexの生産終了、及び公式修理サポートの終了の噂が流れています(2023年末時点)
ということで、交換用パーツを用いて、Indexコントローラのスティックを修理してみた、という記事です。
先に書くと、非常に難易度が高い作業になり、はんだ付け経験者でも、iPhoneパネル交換経験者でもオススメはしづらいです。オススメ出来るのは、自分の分解修理技能に相当自信があるか、あるいはIndexコンを捨てるぐらいなら…!の心境に至っている人でしょうか
それはそうと、3個体ほどスティック分解修理を達成したため、後に続く人向けにメモを残しておきます
使った道具
分解工程
- トルクスT4ドライバー(XiaomiMijia電動ドライバーキット)
- 3mmマイナスドライバー
- iPhoneパネル交換キット付属のプラ棒、ピンセット、ギターピック的なこじ開け三角形
はんだ付け工程
- goot PX-280デジタル調温ハンダゴテ
- 今回のケースでは高い熱出力と調温が活用できた
- エンジニア 鉛フリーハンダ
- goot ハンダ吸い取り線3mm
- ホーザン フラックス
- 基板固定アーム
- 後述するが、今回はほぼ必須
交換部品
- FJ06K-S
- 他セラーからも販売されているため、そちらでも良いでしょう
- このセラーは5個/1セット販売です。僕はなぜか手元に10個スイッチが届きましたが、注意しましょう
参考資料
事前確認
SteamVRのコントローラテストでスティックのドリフト挙動を確認して起きましょう
分解
iPhone分解より格段に細かいリボーンケーブルが舞い、バネやら粘着テープ貼りがあり注意は必要ですが、これは動画の通りにやれば大丈夫。
初手のマイナスドライバーねじ込みは勢いがいるかも。こんな感じで差し込みます
パーツがバラけて分からなくならないように、キープします。ネジの本数は多くありませんが、一つでも欠けると辛そうなネジ配置です
注意点は、スティックのきのこ部がボタン周辺のリボンケーブルと一体化していること。
これがちぎれるとスティックのタッチ機能が死ぬと思われますが、2個体では見た目上は繋がっていても(剥離は始まってました)、コントローラテストでは機能しなかったため、自然に壊れる可能性が高そうです。
VRCユーザー的にあるとうれしいがなくても困らない…ぐらいの機能だと思いたい。代替パーツも用意できそうにないし、ここは壊れてもしゃーなし
旧スティック剥がし
Indexコン修理の最大の難関、旧スティックのもぎ取り。これがとにかく大変で、3つの個体ともそれぞれ1時間以上の時間が掛かりました
が、繰り返したことで多少攻略っぽいのが見えてきました
一番の問題点はこの小さい基板の熱伝導性が異様に高いことで、これによってハンダゴテの熱がどんどん奪われ、ハンダは溶け切らず流れず、あれこれしている間にフラックスは蒸発し…という悪循環が発生します
そのため、PX-280ハンダゴテの調温機能を使い400℃付近まで上げて作業することで比較的マシになりました。あと基板全体が放熱するため、素手では触れません。基板固定アームはほしい所です
スティックの足が多いのもつらいです。ということで、スティックの足をニッパーで出来るだけ破壊し、スティックをもぎ取り。その後、基板穴に残った足を1本ずつ抜き取る、という地道な手で行いました。
参考動画だともっとスッと抜けているので、熱量のあるコテ先とかならその方がいいのかもしれません
一本ずつステックの足を抜き取るため、裏からハンダを当てつつ、ニッパの先で表から足を引っ張る作業の図
コテを400℃前後まで上げ、かつハンダ吸い取り線越しに10秒ぐらいじっくりコテを当てると、穴の中のハンダも吸い上がってくれました。熱量大事。普段のはんだ付けのノリで5秒ぐらいで「ハンダが流れたな」と思って離してしまうと、穴の手前だけしか吸ってくれず、奥はハンダで塞がったままになります。つらい。
このテクニックに気づくまで、ハンダで埋まった穴を相手に2,3時間ぐらい格闘する羽目になった… きれいに取れると清々しいですね
はんだ付けする時も、異様な速度でハンダが冷えるのでその時点で気づくべきだったのかもしれない
初回はハンダゴテの不良やら吸い取り線の経年劣化もあり、スティック一つ剥がすのに3週間ぐらい掛かりました。
新スティックはんだ付け
特にいうことなし。ハンダゴテ温度はコテ推奨よりちょい上360~370℃ぐらいでやるといいんじゃないでしょうか?
終わったら、忘れずにコテを推奨温度350℃に戻しておきましょう
組み立て
リボンケーブル端子は、入れる側と逆のパネルを起こすことができます。ケーブルを差し込み、起こしたパネルを倒すとロック完了。細かい部分はピンセットを使って、差し込み→倒しをやって固定します
1個体でリボンケーブルの癖がついていて、めちゃくちゃコネクタ戻すのが難しいのがあり、苦闘しました。
下の写真なんですが、これよりケーブルが手前に出てきてくれません。そしてこの隙間に当然指は入りません。棒で突くとケーブルは奥へ引っ込みます。なんだこれ。indexコン生産者はどうやって作ってるの…
あと、難関らしい難関はストラップの付け根のスプリングぐらいでしょうか。パーツ類をねじ止めしてしまい、後からスプリングをねじ込んで入れてしまうのが良いと思います
動作確認
SteamVRを起動して、コントローラテストをします。ぐりぐりしてスティックの挙動を見、他ボタンやグリップの挙動がおかしくなっていないことを確認します
ざっくり
慣れると多分、
- 分解15分
- 旧スティック剥がし 1時間
- 新スティックはんだ付け 5分
- 組み立て 15分~1時間
ぐらいの作業時間になるんじゃないでしょうか?ほんとか?とにかく旧スティックを剥がすのが難関です。あと組み立て時のリボンケーブルの癖次第
いやー、indexコン、パーツがみちみちに詰まってて、むしろオーパーツ的デバイスなのでは?という感じしますね。これを生産させられる工場員大変そう。再生産とか…ないんだろうなあ…
スティック死亡のジャンクindexコンがあれば欲しいなー
おわり