しまなみ海道と宮殿を見て走った

去年10月末、友人としまなみ海道を走って来た。天候にも宮殿にも恵まれてめちゃ良かった

準備&プランニング

9月、友人からしまなみ海道を走ろうと誘われたので、しまなみを走るプランを考えようとした。

100km前後のツーリングや獲得標高1000m以上のヒルクライムに行くので、走力は問題ないし、互いの走力も把握している。けれども、そもそも走ったこと無い上に、地理感もないメチャクチャ遠い場所のツーリングプランを、そもそも一人でなく二人で走る、となるとなかなかイメージつかないしプレッシャーも厳しい

 

しまなみ海道尾道(本州)~今治(四国)を繋ぐ約70kmの道だ。尾道の橋だけ自転車走行困難だが、それ以外は自転車用通行帯が整備され、ほぼノンストップで島々を渡って対岸へ行ける。10km/hのツーリングペースであれば走行時間は7時間、というところ。ただ、寄り道をする分には余裕があるのは問題ない。

念のため、走行不能時の脱出手段も調べてみると、フェリーでの離脱も可能だし、レスキュータクシーもあるようす。

 

とりあえず新幹線経由での移動時間をざっくり見ると、尾道まで5時間、今治までは6時間程度掛かる。東京6時発でがんばれば日帰りもギリギリ可能…だがまあ普通はそんなプランを取る理由はないので、1泊を付けよう

 

とすると、選択肢が色々出来る

そしてなまじ走力もあるので、選択肢を十分に増やせてしまうため、非常に迷った。

 

最終的には今治スタートで今治前泊とした。理由は以下の通り

  • 海道の風は今治から尾道に向けて吹くことが多く、ペースアップが見込める
  • 今治側には一番大きい橋があり、体力を温存しやすい*1
  • 今治には十分な土地と都市があるため、宿の選択肢が多く、宿の設備クオリティも見込める。一番重要。逆に、海道途中や尾道の宿は民宿やゲストハウス、またはコース外に豪華ラグジュアリー系が多く、スタンダードな宿が少なかった
  • 「宿泊→翌日走る→帰宅」ケースでは、長い日中時間に走ることができ、日没後走る距離が減る

という感じで、概ね宿で決まった。10/29(土)を取ろうとしたら何故か*2埋まっていたため、28(金)に前日入り宿泊&29(土)にしまなみを走り切って帰るプラン。

1日目は実質半日暇になったので、これは今治探索をすることに。ググッてみると88箇所巡りのお寺が近くに4つある、とのことなので、これに今治城を含めたぐるりルートをとりあえず作っておいて、後は流れで。

 

ということでそれに合わせて新幹線&特急チケットを取るのだが、最近話題の特大荷物席はえきねっとでは取れない。ので、窓口で取るか、JR東の券売機で取る必要があった。

本来新幹線輪行では予約は不要なのだが、ぶっちゃけ、こことデッキぐらいしか置けないし、なんなら予約を取っても隣席の荷物と干渉して置けないこともあり、かなり運に左右される。JR東海は大型荷物をちゃんと置けるような広めのデッキなり荷物スペースを確保してほしいんだが、一行にそういう気配がないのはユーザーとして辛い。中央線のあずさ/かいじでも味わったか…、とにかく大荷物の利用をしやすくして欲しいなあ

1日目

東京0750~新幹線~岡山1115~特急しおかぜ(アンパンマン列車)~今治1338

新幹線の特大荷物席はうまく行った。どうもそれほど荷物がない人が特大荷物席を取ってることがままあるようす?最後尾席だからだろうか?予約で手こずるので、300円とか500円とか特大荷物席は値上げしてもらってもいい気はする…?*3

冷静に思い出すと、神戸より西へ行くのは人生初だわ…

しおかぜも最後尾席を確保しておいたので、大丈夫やろと思ったら荷物で埋まっていた。うむー、新幹線より広いデッキに置いて解決。デッキが広い車両はありがたい、ホント。

でかいクレーンがいっぱい見える景色は初めてだ。どこも造船してるんだなあ、見慣れない世界で面白い

今治

駅前で輪行を解除して組み立ててると、地元の人たちに囲まれ「明後日走るんだよね?」としきりに聞かれる。…どうやら10/30(日)が4年ぶり開催のサイクリングしまなみイベント当日だったらしい。完全に知らなかった、通りで宿の予約が困難だったわけだ…

なんなら駅前の空き地はエイドだか待機場がセットアップされているし、チラホラ自転車ツーリング勢もいる。何なら宿では、スタッフらしき人たちが日曜の出店用の荷物を積み込んでるじゃないか



とりま宿に荷物を放り込んで、ランチに滑り込んだら、試走がてら4/88箇所巡りに

リーチしやすい市街地のお寺は良いとして、結構小高い丘の麓だったりするお寺を巡回…。交通量は多かったり少なかったりするが、概ねペースが東京より緩やかで自転車に優しい気もする。

新興住宅地は見晴らしの良い丘を削って作られるんだなあ…と展望を堪能してると、なんだか見慣れない建物があるじゃん?何だあれ?

寄ってみるとこれは、宮殿だ!なんだこれ!

英雄を称える像も立っている!なんだこれは!日本食研だ!

などと散策して1日目は終了。

 

2日目

上の宮殿工場のツイートをした所、他にも日本食研は2つ宮殿工場を持っている、というのを教えてもらう。そしてもう一つの工場の方がデカく、今治近くにあるらしい。

友人「せっかくだから宮殿工場もう一つ見に行こうぜ!」宿から3,4km程度、しまなみ海道とは逆向きだが、その距離であれば1時間程度あれば寄れるはず。よーし、早起きするぞ!

起床失敗、結局チェックアウトぎりぎりの発になる。

 



宮殿工場へ向かうと、休日にピチパン野郎2人も関わらず守衛さんが快く迎えてくれて驚く。バンコさん像が多数設置されてたり、創業者とバンコさんが並んでるとジワる。タレの噴水、どうしてそんなものを…。庭園は丁寧かつキレイに整備されており、訪問時も庭師さん達が2,3人ほど作業中だった。すごい。庭園は自社工場の建物群に囲まれるよう出来ており、隙間からチラリと外が見える以外はほとんど外の建物が目立つこともない。まさしく宮殿の庭園という風格。

工場敷地内をゆっくり散策して出口へ向かうと更に、お土産に焼肉のタレを貰ってしまった…。大盤振る舞いすぎて再び驚く。

 

後で調べてわかったことだが、元々庭園/工場見学は予約制だった所、昨今のコロナ都合で全部休止に。2022夏から庭園のみの見学を再開した、とのことだった。しかも、開放しているのはほぼ休日のみになっていたので、今回見に行けたのは本当にたまたま運が良かったわけだ。もしかして守衛さんがノリノリだったのも、その辺あたりの理由も絡んでるかもしれない

 

しまなみ海道へ戻ろう。今治市内の市街地・主要道路を避けて、お城の裏、海沿いを迂回するようにスタート地点である来島海峡大橋へ。市街地近くは漁業や水産加工業が多い。なるほどなあ

海沿いルートは今治サイクリングターミナル手前で10%オーバーを一気に駆け上るコース、岸壁に張り付く造船所の景色が見られて良かった。ふつうの人は傾斜が緩やかだろう県道161経由で行ったほうが良さそうだ。

サイクリングターミナルからはグッと自転車交通量が増える。年齢層も幅広い。友人グループや家族連れがぞろぞろ走ってる。2,3分に数人ペースですれ違う。これはすごい。

5%ぐらいに揃えられたループ線を登って来島大橋へ登る。来島大橋は原付きと自転車も分離された高規格な大橋だった。しまなみ海道全体で見ると、橋だけ原付き分離しているケース、上り区間だけ原付き分離しているケース、下りで原付き合流するケースとありちょっとややこしい

来島大橋を渡ると大島。大島でのしまなみ海道は2つの山とその間の小さな平地をつなぐルートになっていて、予想以上に起伏があって平坦ルートの認識を入れ替える。峠自体は橋とだいたい同じ、100m前後のようだがこの区間は海が見えなくなることもあって、山越え感がすごい。結構辛いぞ…海道じゃなかったんかい!と思いつつ、伯方・大島大橋

伯方・大島大橋伯方島大三島橋大三島・多々羅しまなみ公園までは、海道のイメージらしい景色に。右に左に海が開けフラット低地の島と、高い所の橋を繋いで走る。

多々羅しまなみ公園には定番スポットもあり、お土産屋に定食屋、軽食コーナー、レンタサイクル、道の駅ということもあって駐車場も混雑。ここもサイクリストで溢れていた。ここをスタート/ゴールとしているサイクリストも多いようだった。特に定食屋は長蛇の列だったため、諦めてフードコートで鯛カツバーガーにした。

宮殿でタレを貰ったことだし、多少デッドウエイトがまあいいか、と考え更にお土産を買い込む。上りが更につらい。ちょっとした上りで150W以上要求されると厳しいなあ、と愚痴りつつ進む

多々羅大橋を渡ると広島県生口島

レモン絡みの碑を横目に通過。渡った橋を見返す。生口島は海道ガイドに従い、北側ルートを通る。左手を海に走ると合流も少なく安全性が高い。瀬戸田あたりでは翌日イベント用?なのか休憩所の準備が進んでいた

造船ドッグがいっぱい見える。見慣れない景色でたのしい
生口橋を渡ったら、因島大山神社へ寄り道する

海道ルートに戻り因島を横断する。つまり峠だ。ここまで来ると平地が多いのか、集落が増え、交通量が増えてくる。道もちょっとややこしい。

因島大橋。ここが唯一橋の下を通るセクションだった。てっきり全線そういう橋なのかと思っていたので、アレ?と思っていたが、下を通る橋は一箇所だけが正解。

向島は半分ぐらい海岸線を走ると、もう完全に市街地という風格。遠くに見えた本州も目と鼻の先になっている。自転車と車、両方で渋滞も始まる。日の傾く中、フェリー乗り場へ滑り込んでゴール

フェリーを降りれば尾道向島は造船の島なのがよく分かる。なるほどなあ

92km/休憩込み7時間半、おつかれさまでした。って確認したら多々羅しまなみ公園で100分ぐらい休憩してるやん。他、宮殿20分、コンビニ15分、大山神社20分… 実走は5時間ぐらい

しまなみ海道の感想は、プチ峠あり海岸線あり橋多数、市街地少々、対岸には造船所という感じで、思った以上にメリハリがあって、冒険感が味わえた。サイクリングで出会う、いろんな地形が凝縮されてる。

両端の向島と大島の一般道区間以外は、概ね車道区間でも自動車交通量が少なく、またドライバーも自転車フレンドリーに感じられて良かった。自転車ライダーが多く、そのあたりも心強い。

 

体感としては平坦100km走れるような人なら、概ね一日でしまなみ海道は走りきれるんじゃないでしょうかね?そうでなくとも途中フェリー脱出とか選択肢色々あるし、良いとこでした

友人とはここで解散。尾道駅から適当に輪行すれば帰れるだろ、と雑に考えていたが、自転車があるんだし新幹線の新尾道駅へ走って帰ったらしい。自分はここから呉へ向けて輪行

 

その前に、尾道駅からちょっと離れた所にある自転車ステーションONOMICHI U2に、コインシャワーがあると事前に調べていたので向かう。建物外にあるにはある、パッと見公衆トイレと未間違えた。100円と格安だが、男女それぞれ1台しかない上に、シャワーの熱量に対して建物自体のひんやりさが結構ギリギリ、うーん。値段については文句付けようがないので仕方ないが、待たされてしまったというのもあり体験としては微妙…。

って近所に温泉施設ならもっとあるじゃん…そっちにするべきだったな。下調べが甘かった。

U2自体は古い倉庫を改装した、おしゃれ自転車ライフショップ&宿な感じ。ジャイアントのレンタサイクルとかもここらしい

概ね?プラン通りしつつ*4、想定外宮殿に寄り道しつつでいい感じに走れてヨシ。日没前にゴールも付けたし、天候に恵まれたのはほんと良かった。

*1:が自分たちの走力では重要度は低い

*2:後述。ほんと知らなかった…

*3:と思ったが、特大荷物スペース自体が確保されている訳では無く、「譲り合って使え」ということになってるのでその辺を加味して無料席にしているのかもしれない。そもそも新幹線で輪行しづらいのが何とかしてくれー

*4:走力で押し切ったとも言う