いろいろ試して発電したことで分かったアレコレと、理解してると理解が進むやつ集。Tips集と用語集がごっちゃになったもの
起動手順書はコイル男さんのが詳しいのでこちらもぜひ
ついにチェルノブイリシミュレータ(RBMK-1000シミュレータ)の起動手順を完成させました。
— コイル男 (@toughope) 2021年1月28日
総文字数22063!!手順に対して解説が長いぞ!!
これで皆さんも好きなだけ原子の火を灯して下さい!!https://t.co/HDCSDJqmjL pic.twitter.com/S03qzDWHXh
アラートは大切
- この手の機械は、アラートがないとき=正常、という論法で設計されてます。ので停止状態は異常でありアラートまみれ。シミュレータ起動直後にアラートが埋まってるのは正しい状態です
- ここからアラートを減らしていけば自ずと運転状態へ近づきます
- 点滅しているのは新規で増えたアラートです。ACKボタンを押すと、既読状態になり、点滅から点灯に変わります。頻繁にACKを押して、新しいアラートを見逃さないようにしましょう
Xe核毒またはキセノンオーバーライド
- シミュレータ炉では常にXeが発生していて、Xe核毒による中性子吸収/出力低下が起きています
- じっくり炉を起動させようとすると、Xeが溜まってしまいRODをどれだけ抜いても起動できなくなります*1。Xeが貯まる前に、手早く、思いきって臨界へ持っていくことが、Xe核毒に対しては重要です
- Xe過剰により起動困難になった場合、シミュレータを再起動して最初からやり直すか、Xeチート*2をするしか手はありません
バルブとポンプの起動方法
- 流量が多いValve/VlvとPumps(Recirculation、Feedwater等)のセットには起動順序があり、それ以外の方法では起動しません
- 開ける場合、InletValve/SuctionValve→Pumps→Outlet/DischargeValveの順で起動します。閉める場合は逆。
- それぞれの操作には時間がかかります。そのため押しても即座には動作しません、計器盤もそれだけ遅延します。バルブで長いものは10秒ほど、Pumpsは2,3秒掛かります。
- RecirculationPumpsなどはVoid発生によって停止させてしまうことがあります。その場合、そのままではポンプ再起動はできません。OutletValveを一旦閉じる→Pumpsを再起動→OutletValveを開く、といった手順が必要になります。
用語LevelとPressure
- Levelは水位を示し、軽水が入るあらゆる場所にあります。
- 水位が極端に上がったり下がったりすると、(水が入ってはいけない)次パーツに水を流し込んだり、空焚きになったりするため、これを維持するのが蒸気機関の運転ではキモになります。
- DrumLevel,ReactorLevel,HotwelLevel,Deaerator(DA)Levelなど
- 基本的にLevelで水の量を確認します。水が足りてるか足りてないかはLevelを見て判断します。安定時の基準値は0。基本的にはAuto任せ
- Pressureは気圧を示し、蒸気が入るあらゆる場所にあります。
- 蒸気機関は蒸気圧から復水器の真空との落差でエネルギーをタービンに伝えます。一般に蒸気圧が高いほどタービンは高出力になりますが、起動準備が十分でない場合、耐圧性能のない部品に高圧蒸気が流れてしまい、機器を破壊します。(RuptureDiscアラートが上がり、シミュレータでは復帰する方法がありません)
- DrumPressure,TurbinePressureSetpoint,Deareator(DA)Pressure,CondensorEjectorPressureなど
- 基本的にPressureで蒸気のパワーを確認します。蒸気が足りてればPressureが上がり、足りなければ下がります。過剰分はMainSteamDumpValveからCondensorに放出されます
用語setpoint
- 原子炉機器の中には、モジュール単位で簡易な自動化している機器がいくつかあります。その自動化において、目標値の設定がsetpointです
- 例えばFeedwaterPumpsのDrumLevel setpoint 0の場合、DrumLevelを参照しDrumLevelが0未満ではポンプを起動、0以上でポンプを停止する、という挙動になります
- 例えばMainSteamDumpValveのsetpoint 1000の場合、DrumPressureを参照し、DrumPressureが1000以下であればバルブを閉じ、DrumPressureが1000より大きい時はバルブを開ける、という挙動になります
タービンReset起動条件
- TurbineSupportのSteamSealを起動していること + DrumPressureが2000ぐらいあると、CondensorVacuum,Ejectorが起動できます
- CondensorVacuumが起動している + DrumPressureが3000ぐらいあると、タービンをリセットし、setpoint900rpm以上を設定できるようです
用語OpenとClose
- 電気GeneratorBreakerにおいては、Openがオフ(開放)、Closeがオン(導通)になります。
- 流体(水/蒸気)用の用語が電気系でもそのまま使われてるため、現代の感覚だと違和感があるかもしれません
AutoControlの起動条件
- タービンResetが出来ている状態から、AutoControlをオンにしてROD PULL操作をして臨界(HOLDボタンの横 N Rate log > 0)、でAutoControlが起動するようです
- AutoControlに入ると、UIから%指定の出力調整PowerSetpointができるようになり、ROD操作をすべておまかせで一定の熱出力を出し続けてくれます。逆に言えば、このUIで%が操作出来ないならAutoControlになってません。
- Error表示は正直良くわかりません。ERROR表示でも動いてます
- 熱出力を一定で維持するのは人間業ではないので、早い段階でAutoへ引き渡したいところ
FeedwaterFlowアラートと3 ElementControl
- FeedwaterFlow < 5%アラートはFeedwaterの3 ElementControlがオフの場合頻発します。
- というのも3エレメントがオフの場合DrumLevelを見て、足りなくなったらポンプ起動、足りたらポンプ停止と間欠駆動するからです。このポンプのオンオフの「オフ時」にアラートが上がります
- 他にも3エレメントがオフの場合、不定期にDrumLevel,HotwellLevelが上昇下降したり、不定期にDrumに水が入ることから温度が下がり蒸気圧が不安定になったりと、安定稼働においてはよくありません
- 3エレメントコントロールは、DrumSteamFlow、DrumLevel、FeedWaterFlowの3つを見て、いい感じにする画期的な機能です。ただし、蒸気が十分に循環してない場合にはうまく動かないため、オフがデフォルトになっています
- 蒸気機関起動中は3エレメントをオフ(デフォルト)、蒸気機関が安定して動き出したら3エレメントに切り替えるのが良いでしょう。そうすればFeedwaterFlowアラート頻発はなくなります
スタートアップバルブとメインバルブ
- TurbineValveとFeedwater ValveにはStartup/Mainという2つのバルブがあります
- Startupは流量が小さい代わりに制御が効きやすいバルブ、Mainは流量が大きい代わりに制御が効きにくいバルブです
- Startupバルブで起動し、発電が安定したりバルブ開放率が大きくなったら、Mainバルブに切り替えます
Generator Reverse Powerアラート
- 送電を開始したとき蒸気量/蒸気圧が足りないと、GeneratorLoadが増えた後0に戻ってしまいます。この時、何が起きているかというと送電網と発電機の同期が取れてない状態で、発電ではなく逆に受電してしまい、発電機をモーターにしてタービンを回す、ということが発生してます。これがGenerator Revese Powerです(Generator Loadに負値が表示されると分かりやすいんですが、残念ながらありません)
- そうなると、Generator Breakerは自動的に電力網側をカットします。カットされた瞬間にタービンがトリップ、VibrationとDiffExpasionが大きくブレてしまい、しばらくタービンに触れなくなります。
- GeneratorReverseが出たら、タービントリップを防ぐために手動でGeneratorBreakerをOpenしましょう
- 根本的にはタービンに与えてる蒸気量/蒸気圧が少ないことが原因です。炉の出力を高め、MainSteamDump setpointを高めに、炉とタービン3600回転の安定を待ってから送電を開始しましょう。安定化のために3ElementControlのオンも確認しましょう。
MeltDownと100%出力の条件
- 他にも条件ありそうですが、Neutron Fluxが100%をわずかでも超えるとメルトダウン判定されるようです
- 熱出力はN Flux 100%からXe吸収分が引かれたものから算出されるようで、Xeチートなしの場合、溜まったXeが燃え尽きるまで熱出力100%は出来ない模様。その場合は熱出力95%ぐらい
- AutoControlでは100%を超えて出力が設定できます。ほぼ即座にメルトダウンします。そりゃそうだ?
- ThermalPowerCorrectionは、おそらくPowerSetpointの基準をNeutronFlux基準(Correctionオフ)にするかThermal基準にするかの違いのようです。ので、setpointが95%近いときにCorrectionをオンにすると、補正分の熱出力を炉が出そうとしてメルトダウンする可能性が高いです。ご注意