Indexコンに付属した、Valveが放つ大作VRゲーHalflife:Alyxを少し前にやってクリアしたので書く。
ネタバレ少なめで(ないとは言っていない)。
自分の環境は、Pimax5k+ + Indexコントローラ、途中からVivePro + Indexコントローラに切り替えてプレイした。Halflifeシリーズについては1,2を途中脱落で評価は低め、Portal1,2のシングルをクリアして高評価、という所。
良い
- 手触りへのこだわり。Indexコンによる各種銃、グラビティグローブや各種ギミック操作はとても心地よい
- ホラー要素があるが、脅かしをゼロにする努力がなされている。必ず予告がある
- 作り込みはさすが。モノを拾ったり、しかもそれがちゃんと使えたりする。かっこいいポストアポカリプス&ディストピア近未来散策
- 操作系が用意されて快適なカスタマイズが出来る。VRChat風操作で快適に遊べた
悪い
- 全体的にグロテスク。圧倒的ハイクオリティなはらわたの飛び出た死体、うめくゾンビ、ぬらぬらした液体、うごめく壁、胞子を巻き散らすトラップが無限に出てきて、そこを前進させられる
- プレーヤーに直進するタイプの敵(グロい)がかなりいる
- イマイチめりはりに欠ける展開。良くも悪くもシチュエーションが順番に出てくる
- 弾薬がなくなると出来ることがない
- シーン音楽について唐突に切れたり変化がわかりやすいセクションがあり、この辺はわざとらしさが残る
- Pimax非対応。PitoolのFFR設定が正常に動かない、左右目でレンダリングが異なる箇所がある
うーん、個人的にはなかなか評価しづらい。
Halflife1,2が個人的にダメだった点として、ズルズル進んでいくというかメリハリに欠けてる展開にイマイチ乗れなかった。この特徴はAlyxでも健在で、なんかずんずん進んでいくと敵が出てきて戦闘し謎解きをし…という印象は最後まで拭えなかった。まあただ、これはシリーズ方針かなというところ
各所で語られているが作り込みと、感触はすごい。
ちゃんとハトが逃げてったり、ペンで絵描き遊びができたり*1、木箱を壊したり*2、引き出しを漁ったりしてアイテムを集める。RPGのアレだ。引き出し、戸棚、ロッカー、それぞれ挙動が違う
銃の感触も良い。リリースボタンを押してマガジンを捨て、バックパックから予備マガジンを取り出して装填、撃鉄を起こす、といった一連の手さばきが要求されるあたり、VRゲーとして素晴らしい。そしてもちろん戦闘中に弾切れになると、あたふたして撃鉄を起こすのを忘れて無駄に引き金を引いたり、「あああ、なんでこんな弾数少ないんだ」と毒づながら、予備マガジンをポロッと落としてしまったり、というホラー映画で散々見たシロウト一般人プレイが出来る。いや、させられる。正しい。これだよこれ、やりたくないけどやりたかったのはコレだ。
とはいえこの体験はユニークかというとそうでもなく、敵と相対して銃をあたふたする場面はVRZ Tormentで味わったことはあった。
本作特有のグラビティグローブの音、操作感もまたVRでよくある「手が届かない」問題を解決しつつ、気持ちよさに貢献している。ビヨン~、という音共に飛んできて、握る操作でパシッと取る。その実感。棚や引き出しをあさり、弾薬やレジンを見つけ、グラビティグローブを使いこなしながら、バックパックに収納する行為には中毒性がある。
敵。ゾンビやら奇っ怪な生物が来る。来るが、一発目の脅かしは全力で排除してある。フェンス越しのチラ見せから、解説、低速な動き、振りかぶっての攻撃、初遭遇は1匹だけ。確実に段階を踏んで見せてくる。のでドッキリに頼るショボい作りは一切はなく、そこは安心して遊べる。
ハイクオリティなポストアポカリプスなサイバー東欧廃墟(グロ)を、小気味良いグラビティグローブとハンドガン手に散策する…。だいたいそんな感じだ。
いやー、まあ、そうなんだけど。それを補って個人的には余るのがグロ、液体嫌悪感だ。しかも圧倒的ハイクオリティ
グロい。腹かっさばかれた死体が転がってるのは序の口。死体表現はまあ洋ゲー耐性があれば妥当な範囲なんだけど、それとはまた別のグロさがある。奇っ怪生物Xenが侵食した街…ということなのだが、ハイクオリティなネトネト、グチョグチョな液体質感。生物融合した壁面。それらが蠢いたり、毒霧吐いたり…。嫌悪感がすごい。的確に嫌悪感を与えるという点ではものすごく良くできている。つらい
というのを見るだけでなく、近づいたり、こびり付いた所を潜って抜けたり、ということをさせられる。する。回復装置は巨大芋虫をすりつぶして使うぞ*3。すりつぶす瞬間の演出といい、すりつぶした後に内壁にこびり付くとかとか、すげえリアルな絵だな。うぇ~
モニタならマシなのだろうが、あいにくこのゲームはVRである。視界から逃げられない。
これが最も自分が、一般的にオススメできない要素だ。Halflifeの世界観を適切に再現したのはそうなのだろうけど、本当にキツイ。うれしくないハイクオリティ。いや的確に嫌悪を抱かせるあたり成功しているんだけど…、ホントどうして…
もう1点はプレーヤーに直進する敵、だ。
まあこれはHalflifeの世界観の再現として仕方ないところもあるのが、敵がプレーヤーに特に顔へ突撃してくるのは非常に嫌悪感がある。SpacePirateTrainerにしろ、PistolWhipにしろ、Audicaにしろ、敵がプレーヤーの安全圏を侵入してこない、侵入が回避しやすいようにできているガンシューは心地よくできてるのだが、それと真っ向に対立するデザインをしていて… いやまあこれは世界観の方が需要なのだろう。つまり苦痛を体験するよう設計されている。つらい。ゲームオーバー時はほぼ必ず、敵キャラが顔面に張り付いた状態になる。うれしくない…*4
Halflifeらしい展開…は個人的にはあんまりマッチしなかった。ストーリーはともかくとして、細かいセクションに区切られ、前述のようにキッチリ脅かし要素を排除した進み方は、良くも悪くも単調に感じた。ゲーマー的に予想が効いてしまうとでも言うべきか。VRゲーム的に広いフィールドを用意できない、とか制約もあるようには思うが。
結論
めちゃ良く出来てるが、概ねつらい展開が続く。楽しさより乗り越えるべきつらさが多かったゲーム、という感じだ。単に自分がHalflife適正が低いだけというのは多いにある。not for me。
むしろこんなニッチなタイトルをIndexバンドルで出してくるの、すごい判断だな?と思ったけど、VRゲー起動時にバルブ一面壁とかバルブ埋め込まれたハゲ頭とか見せてくる会社だったなそういえば…。
Halflifeの世界が好きな人、グロ液体嫌悪感に耐性がある人、死を求めるゲーマーにはオススメできるが、それ以外の人はオススメしづらい
どうしてもと言うなら、最初の列車に乗る所までで体験程度に押さえるのが良いかもしれない。グラビティグローブとハンドガンはそこで試せる。その次は死体がもう出てくる
あと、これは完全にVRChat中毒患者の言い分だが、マルチプレイがほしい。サポートプレイなり、他人と同じフィールドで視聴だけとか、後ろから付いていくだけのマルチプレイが出来きると、怖くて遊べない人のフォローができて良いのではないかと思う。ホラーな分、複数人で行くとだめな人でも多少安心できるかもしれない
ソロ専用VRゲームは寂しくなってきている
*1:正直これは取り上げられすぎなのではないか?とは思う。他にそんなセクションあったっけ?マスクとかヘルメット、瓶とか?
*2:よく弾が入ってることがある
*4:この手の経験は VRZ TormentやThe Brookhaven Experimentなど、VRゾンビシューティングなどでよくある。顔にゾンビの歯型マークが付いたりする